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Episode.05| 穂積 正治
2026/01/07

STORY Episode.05では、日々同じ作業場で一緒に仕事をしている穂積正治(ほづみまさはる)さんをご紹介したいと思います。

穂積正治さんは、代表の甲斐とは遠い親戚にあたり、工房のある椎谷集落の隣の集落にお住まいの工房最年長の御年81歳。

正直81歳とは思えない程の若々しさで、一年中半袖で仕事をして、その半袖から見える腕は筋肉隆々、そして初めて会った時から見た目は全く変わっていないように思います。(月に2回は床屋に行き整えられているそうです)

正治さんには一年を通して仕事をお願いしており、作業内容は吊り下げや仕上げ用の細縄、房作りなどの制作を主に担当してもらっています。

わら細工たくぼで最初に仕事をお願いしたのは2020年9月。今から約5年前のことです。

当時、制作の手が足りていない状況で、仕事をお願いできる人は誰かいないだろうか?と考えた時に真っ先に白羽の矢が立ったのが正治さんでした。

正治さんは、ご実家の百姓仕事、車の修理工、タクシー運転手、建設機械や仮設資材のリース会社、コンテナハウスの修理工と、様々な経歴をお持ちなだけでなく、町内への顔も広く、現町長の後援会長もされているとか。さらには、竹細工やしめ縄を趣味で長い間作られており、ものづくりもお好きということもあり、声をお掛けすることとなりました。

わら細工の制作においてはもちろんですが、田んぼや用水路のこと、機械や車のこと、日之影町のことなど、僕たちだけでは分からないさまざまな分野においても正治さんの知識や力を大きくお借りしてきました。これからもきっと力をお借りすることも多いかと思います。

一見コワモテにも見えますが、作業中も何十歳も離れた若手とも冗談を言い合ったり、お客さんにもフレンドリーで、とてもユーモアに溢れたチャーミングな一面もお持ちな正治さんです。

余談にはなりますが、個人的には方言と昔の暮らしの先生でもあり、仕事中、「山木くん、◯◯って言う方言は知ってるかね?」とか「昔はねえ、◯◯な暮らしをしちょったとよ」といった具合に、昔のあれこれを教えてくれます。

ちなみに現在、約180個もの方言が集まっており、いつかこの地域の方言を集めた本を出すのが一つの夢です。また正治さんが趣味で集められているという昔の道具の秘蔵コレクションをいつか拝見したく、密かに機会を伺っているところでもあります。

写真:深井 早智

そんな正治さんですが、実は工房に来られる前にも二度に渡り助けていただいたことがあると聞いています。

一度目は今から約60年前。まだ田んぼで牛を引いて耕運していた時に、当時主流となりつつあった耕運機を正治さんが貸してくださり、耕運のスピードと効率を大きく上げることができました。

二度目は約20年前。それまでずっと、もはや時代遅れとなってしまっていた耕運機で田んぼを耕していたなか、またしても正治さんが今度は自分のトラクターを貸してくださり、耕運の効率が飛躍的に上がるだけでなく、田んぼに足をつけずにトラクターに乗っているだけで耕運ができ、労力面でもかなりの軽減を図ることができました。

工房で働かれる前も他にもさまざまな場面において工房へと貢献をしてくださった正治さんと、今、わら細工たくぼのメンバーとして一緒に働いていることを考えると、ご縁の深さを感じます。

正治さんを始め、工房では多くの地域の方々に支えられて仕事をすることができています。現在7名の地域のおじちゃんおばちゃんと一緒に仕事をしており、正治さんのようにそれぞれが得意分野を活かし、わら細工たくぼという場で活躍しています。

わら細工という工芸品の特性上、田んぼの土手や畔の草刈りなどの田んぼ仕事から制作面でも材料を切り揃えたり、最後の仕上げ作業など、仕事は細々と多岐に渡ります。

作業が多く煩雑で大変でもある一方で、軽作業も多く、さまざまな世代の方が関わることができるという側面もあるかと思います。

現在、正治さんが最高齢の81歳。最年少は28歳と、80代から20代まで幅広い世代が同じ作業場で仕事をしています。

今後も地域の方々の手や力をお借りし、地域を大きく巻き込みながら仕事を進めていき、棚田の維持を図りつつも、同時に地域にも恩返しができたらと考えています。

最後に今回ご紹介した穂積正治さんからコメントをいただきましたので、ご紹介します。

私と若い人達

戦後80年、その変貌は目を見張るものです。私達はただ目の前だけしか見ていませんでした。今、若い人達はすばらしい頭脳と行動力で私達の仕事をカバーしてくれています。

81才にして若い人達と同じ仕事をしている中、とても幸せを感じています。

これからも1日を大切にして行きたいですね。

穂積正治

文責 山木 博文

写真 川しま ゆうこ さん

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